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医薬分業の今と薬局・薬剤師の問題点について

薬歴管理算定についてもノーチェックで調剤

医薬分業の機能に疑念をもつデータがもう一点存在します。

保険者が行っている医療費適正化対策の一環として、2010年に広島県呉市において実施された調剤点数の際、とあるチェーン薬局のレセプトの2.7%に重複服薬、6.4%に相互作用のある内容が見つかりました。

同薬局においては、薬歴管理料30店を算定したにも関わらず、薬歴照合ないし患者からの情報収集等の確認を怠り、スルーして請求していたこととなります。

医薬分業の根本となるダブルチェック機能を蔑ろにして、国民の期待を裏切るものというほかありません。

結果として、2012年度改訂においては、薬歴管理料のあり方に関して議論が行われ、おくすり手帳の統合等の再編が実施されたことはご存知の通りです。

また、近年ドラッグストアにおいて流行している調剤の一部負担金に対するポイント付与問題があります。

医師会等医療側からは、「調剤が儲かっていることでポイントを付与することができる」といった批判的な見方も強くなっています。

日本薬剤師会にあっては、「ポイント付与に関しては一部負担金の減免に該当する」として規制を要求していますが、日本チェーンドラッグストア協会においては、クレジットカードや電子マネーの支払いによるポイント付与は例外的に認められていることから、「整合性が摂れない」として継続の構えとしており、一律に禁止となった場合「訴訟も辞さない」として反発を強めています。

厚生労働省にあっては、2013年末までにクレジットカード及び電子マネーによる一部負担金支払いに関して、何かしらの結論を得る方針としていますが、公的資金によって賄う医療保険制度の根本に関わる事柄だけに、良識ある対応が望まれます。

 

医薬分業の今と薬局・薬剤師の問題点について

今、医薬分業及び薬局・薬剤師のあり方として、何処に問題があるのか探っていきましょう。

直面する超高齢社会において、薬剤師が地域包括ケアシステムの担い手としての役割を果たすことができるかどうかを判断する材料になると考えられます。

医薬分業の定義付けに関しては、多くの場面において語られていますが、おおよそ「医療にあっては医師が患者の診断及び治療を実施し、薬局・薬剤師が処方箋に基づいた調剤を実施し、医師、薬剤師が各々の専門分野において業務を分担して行い、国民医療の質的向上を図るもの」として考えられています。

 

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薬局薬剤師による調剤手順変更の意義について

医薬分業と薬局・薬剤師の問題点

処方箋受付から薬剤調製及び交付、また、服用状況の確認に至るまで、その主体性と責任を薬剤師が持つことで、医療の合理化及び適正使用を図って、国民の健康的な生活の確保に貢献します。

その為、薬局においては必要となる医薬品の確保を行い、管理及び試験、情報を完備し、薬物療法のスムーズな推進を図る責務があります。

医薬分業にあっては、処方箋チェックによる薬の重複投薬や相互作用の防止、薬のエキスパートとしての説明及び相談と、納得の上での服薬等のメリットがある一方で、二度手間や、負担が増える等のデメリットも有しています。

このデメリットにも関わらず、医薬分業を推進しようとしている背景には、それぞれ分野の専門化の嘱望分担により、効率的で効果的な薬物療法を実現することができるとの期待があるからに他なりません。

つまり、医薬分業とは、単なる「処方箋調剤」に留まることなく、「医」と「薬」の職能分担及び協業による医療のクオリティ向上が目標ということができます。

医薬分業元年当時については、文字通り、処方箋に基づいた調剤を行うことのみにとどまっていました。

OTC医薬品販売が中心であった為に、医療用医薬品の取り扱いに慣れておらず、医師の手書き処方箋を判読するだけでも精一杯だったという事情もあります。

今日において、薬剤師の調剤業務の概念は大きく拡大しました。

単純に処方箋通りに調剤を行うだけではなく、薬歴やおくすり手帳、インタビュー等を通して、体質やアレルギー歴、服薬実態、OTC医薬品やサプリメント等を含む服用実態を把握して、処方内容と照合して適切かどうかを判断します。

医薬分業とは、処方と調剤をわけるという意味だけではなく、医師と薬剤師の職能を分担することにより、患者により適切な医療を提供して、効率的かつクオリティの高い医療を実現するシステムです。

ですが、現時点では、単純に院内投薬を院外に移行しただけの分業に留まっているという例も少なくありません。

分業の費用対効果が論議される所以です。


薬局薬剤師・調剤手順変更の意義について

2010年度の診療報酬改定にあって、薬歴管理科の算定要件が変更となりました。

アレルギーや服薬状況、多科受診の有無や後発医薬品使用等の有無について、「薬を取り揃える前に、患者等に確認を取るように努める」とされています。

これまで、処方箋を受け付けた後については、そのまま処方箋を受け取って薬歴と照らし合わせ、不備がなければ薬剤の調製を実施して、出来上がってから患者に対して服薬指導を行い、渡すことが一般的でしたが、上記の要件変更によって、処方箋受付の際に予め確認することとなりました。

調剤済みであれば、服薬指導の段階で不都合が発覚した場合でも、変更することができない為です。

調剤薬局の薬剤師 門前薬局のコバンザメ商法

薬剤師による調剤手順変更の意義について

大半の薬局にあっては、処方箋の受け付けを行ったあと、患者を待たせた状態で処方箋のチェックを行い、調剤を実施しているのが現状です。

何故調剤手順の変更が行われたのか、理解されていない状況です。

患者が待たされたという感覚を持つのは、処方箋の受付を行った後、何のフォローもなく、薬が出来上がるまで待たされる為です。

処方箋を受け付けて、処方内容について吟味し、患者の話を聞いてから調剤を行うことで、患者からしてみれば、話を聞いてもらえて、要望することで、飲みやすいように工夫をしてくれる等、医療分業のメリットを体感することができるでしょう。

調剤手順の変更については、患者に「待たされた」という感覚を持たせないようにする他、医療安全や効率性、納得・安心する為の措置です。

ですが、大半の薬局においては、効率面のみ捉えてしまっているのは、待ち時間対策の観点からも、残念としか言いようがありません。


コバンザメ商法の典型「門前薬局」

調剤薬局はおよおそ似たような店構えとなっており、レイアウトや患者応対に関しても同様のことが言えます。

大病院の門前において薬局が林立しているケースでは、どの薬局でも違いがないように見えます。

小売業界においては、「コバンザメ商法」というものが存在しますが、門前薬局という業態は、まさに「コバンザメ商法」の典型と言えます。

とは言っても、コバンザメ商法を戦略的に捉え成功しているケースもあり、必ずしも否定的な見方のみとは言い切れません。

例として、ファストフード等集客力のある店舗の近辺に開かれるラーメンチェーン店や、スーパーの近隣で成功している八百屋等はマスコミでも取り上げられています。


調剤薬局コバンザメ商法について

では、調剤薬局の場合はどうでしょうか?

調剤薬局に門前形態が多い理由は、処方元となる医療機関や医師の意向に重きを置いた結果と言えます。

調剤薬局経営者の大抵は製薬企業におけるMR出身者です。

MRの現役時代に処方元との関係を構築しやすかった為、処方元となる医療機関の近辺に薬局を開設することが一般的だった為、門前薬局が多く輩出されることとなりました。

その為、つい最近まで患者は医療分業のシステムをよく理解しておらず、誘導されるがままに(本来違法ですが)、最寄りの薬局に処方箋を持ち込むようになりました。

この傾向については今日においても続いており、必然的に門前薬局が目立つ結果となっています。

薬局薬剤師が他の薬局と差別化する為には?

調剤薬局・薬剤師差別化の鍵は「接遇」

受診する度に医療機関の最寄りの調剤薬局に処方箋を持参することは、服用薬の一元管理の観点からも問題が生じ、医薬分業のメリットが充分に発揮されていないことは言うまでもありません。

最近でこそ、患者は薬局を自由に選択することができるということを理解していますが、圧倒的に門前薬局が多いうということもあって、地域でかかりつけ薬局を定めている患者はごく少数です。

小売業の視点で見た場合、調剤薬局の取り扱う商品については、医療用医薬品です。

ですが、医薬品は製造や流通、販売、市販ののちに至るまで、法令により厳しく規制されている点において、一般的な商品とは大きく違います。

一般の店舗にあっては、普段からよく商品を購入しにきてくれる上得意客に対して特典の付与を行い、賞味期限が迫った商品については価格を下げて販売することが可能となっていますが、処方箋において取り扱う医薬品に関しては、一律同じ価格であり、同じ品質であるということが原則となります。

勿論、おまけを付けることや、価格を安く提供することも許されていません。

『顧客』は、直接商品を購入することができず、院内・院外に関わらず、処方箋によって入手しなければなりません。

取り扱う商品の品質や価格は同じで、販売方法も同様である上、店舗や応対まで似たり寄ったりということであれば、患者は薬局を選ぶ基準をどこに求めれば良いのでしょうか?

まさに、同質的競争が蔓延しているのです。


薬局薬剤師・差別化する為には?

では、同質的競争から抜けだして、同業他社との差別化を図る為にはどのようにすれば良いのでしょうか?

先述した通りに、商品及び価格、業務内容が同一ということであれば、顧客視点において判断が可能となる違いとは、「接遇」求めるより他ありません。

はじめは、患者視点のマーケティングということができます。

単に患者と言っても、ひとくくりにすることはできません。

薬剤師からしてみれば同じ患者として括ることができますが、患者一人ひとりにスポットライトをあててみれば、たとえ同じ病気だとしても、生活環境や職業等のバックグラウンドがそれぞれ違います。

さらに言うならば、患者本人の立場からしてみれば、自分は「特別な患者なのだ」という意識があります。

このような「特別な患者」に向けて、心からのおもてなしと、安全と安心を提供するということが基本と言えるでしょう。

調剤薬局の大抵はマニュアル(業務手順書)が存在します。

ですが、患者応対はマニュアル通りにはいきません。

それぞれの患者の状況やバックグラウンドを踏まえて、共通の言語をもって、理解及び納得してもらわなければなりません。

薬局・薬剤師が医療の担い手として位置づけられた意義

薬局薬剤師の他薬局との差別化について

薬局の待合室におけるお茶やコーヒーのサービス、子供向けの絵本や健康雑誌、雨の日の傘の貸し出しや車による送迎等々、多岐にわたるサービスを実施している薬局も増加していますが、根本的には、薬剤師の丁寧な応対、心からの笑顔といった人間としての力を磨くことが第一歩と言えます。


在宅医療・施設療養患者をターゲッティングする

超高齢社会のもたらす深刻な問題が、高齢者の療養及び看取りにあることは論を待ちません。

厚生労働省では病院の長期入院是正を目的として在宅医療及び在宅介護を積極的に推進しており、このような患者のケアに薬局が介入していくということが、限界に近づきつつある医薬分業市場の新しい市場開発ということになります。

国立社会保障・人口問題研究所における推計によりますと、2010年より2035年までの20年間での総人口、年少人口、労働人口についてはゆるやかに減少しますが、高齢者人口が増加傾向となることが明らかとなっています。

現在の日本にあっては、これまでのような2世代、3世代同居の世帯が減少し、高齢者単独世帯の増加が著しいことが特徴です。

その為、高齢者の医療及び介護、日常生活のサポートが大きな課題となっています。

対して、医療をはじめとした社会保障体制はどうでしょうか?

消費税増税法案が成立したことからわかるように、日本の財政状況は極端に悪化しています。

2011年度末の国際及び借入金、政府短期証券を合わせた国の債務残高は、過去最大の1000兆円に迫りつつあります。

政府は医療体制に関して病院機能の集中化と連携の方針を打ち出しています。

つまり、病院機能は急性期ないし高度医療に特化して、長期入院に関しては地域における受け入れを促進し、外来については可能な限り診療所ないし在宅に回すという政策です。

高齢者人口が増加に伴った医療、介護、日常生活をサポートする為の地域包括ケアシステムを積極的に推し進めようとしているわけですが、これは「一医療期間完結型」から「地域完結型医療」への移行であり、患者は施設ないし居宅等により多く流れるようになります。


薬局・薬剤師「在宅患者」ニーズを掘り起こす

このような状況下にあって、薬局・薬剤師が新しい医療提供体制、地域包括ケアシステムにどのように携わっていくのかということが問われています。

薬局が医療提供施設になり、薬剤師が医療の担い手として位置づけられた意義は、ここにあると言っていいでしょう。

薬局・薬剤師の在宅訪問は「割に合わない」!?

地域医療計画にあっての薬局・薬剤師

今後、薬局は地域医療計画に盛り込まれます。

「5疾病・5事業及び在宅医療」にどのように向き合っていくのか、訪問看護ステーションや訪問診療所との連携や、麻薬の取り扱いによる終末期医療への参画、認知料、うつ病の予防と早期発見等の相談機能などが要求されているのです。

在宅患者と向き合うことで、薬局は新しい処方箋を発掘することができます。

勿論、調剤のみではなく、医薬品に関するプロフェッショナルとして多職種とコミュニケーションをとる中で、服薬管理や副作用発見等の役割を担うこととなります。

在宅にあっての高齢者の服薬管理については、本人以外に、介護事業者がより多いシチュエーションで管理していることが明らかとなっています。

ですが、訪問看護師、あるいはヘルパーが、たとえば「1日3回、食後に服用」の度に立ち会っているというわけではありませんし、薬に素人が関わるという危険性もあります。

本人が薬を管理している、あるいは配偶者が薬の管理を行っている場合もありますが、老老介護にあって充分な服薬管理がなされているのでしょうか。

そこに薬剤師が関わることで、在宅の服薬状況に関しては大幅に改善されます。

2012年度診療報酬・介護報酬同時改定の議論において示されたデータにあっては、在宅に残薬が500億円あり、薬剤師が関わることで400億円もの改善効果が見られたことが報告されています。

ただし、現実的には、「在宅の残薬はその10倍はある」との指摘もあります。

加えて、施設の入所者に関しても、大抵は医薬分を服用しています。

一般的には4種類~6種類程度の服用ですが、中には10種類服薬している場合もあることから、医療コスト節減のみならず、患者のQOL向上という観点から、在宅現場にあっての薬剤師の関わりが要求されています。


薬剤師の在宅訪問活動の実態

ですが、薬局における在宅患者に対する取り組みは不十分と言わざるを得ません。

薬剤師側の問題でもありますが、医療機関は薬剤師の在宅訪問に関して「知らない」という実際があります。

医療保険についても、介護保険についても、薬剤師が訪問する為には医師の指示が必要となりますが、医師が在宅医療について、薬剤師の存在を正しく認識していない限り、実際の行動には至りません。

たいして 、在宅訪問の実績のない薬局にあっては、「薬剤師不足で対応が間に合わない」「休日夜間を含めて、常に対応が要求される」「無菌設備を有していない為対応ができない」等の意見が多くみられ、在宅訪問の実績がある薬局においても、「調剤報酬が安い」「効率が良くない」等の意見がみられます。

在宅訪問を行う薬剤師のアピール

在宅訪問の実績にある薬局にあって、「採算が取れない」との意見は多くみられます。

その為、効率面の問題から、患者の居宅ではなく、施設に訪問の重きを置いている場合が大半です。

一括して薬剤を施設に届け、その後の対応に関しては施設の職員に委ねる方法となりますが、このケースでは、患者一人ひとりに対する服薬管理が十分とは言えません。

このような事情もあって、在宅患者訪問薬剤管理指導業務の届け出を行っている薬局は7割以上となっているにも関わらず、実際に在宅訪問に取り組んでいるケースはごく少数に留まっています。

2011年6月審査分の請求状況を見てみますと、調剤基本料を算定した回数については5900万回ですが、在宅患者訪問薬剤管理指導については1.7万回と、請求割合はおよそ0.2%です。

この数値に介護保険の居宅療養管理指導が加わりますから、実際には倍以上の数値とはなりますが、それでも現状不十分ということに違いはありません。


薬剤師のアピールを行うことから

薬局・薬剤師の在宅訪問に至るきっかけは多くあります。

医師の指示のほか、ケアマネージャーや訪問看護師といった多職種から在宅患者の服薬についての相談を受け、薬局から医師に問い合わせて訪問指示を得た上で取り組むケースも少なくありません。

加えて、薬局に本人が訪れない時、その理由を確認した上で在宅訪問の必要を判断し、医師に問い合わせて指示をもらうケースもあります。

在宅医療は、処方箋の通りに調剤を行って、出来上がった医薬品を患者に渡して終わりということではありません。

一人の患者に医師や看護師、ケアマネージャー、ヘルパー等様々な職種が関わっています。

多職種との連携の構築がまず肝心となりますが、連携を構築する為には、地域の薬剤師会等で在宅訪問が可能な薬局のリストを作成し、医師会、看護協会等に提出することで、薬局・薬剤師が在宅に依る医薬品問題に関わることができるということをアピールするべきでしょう。

2012年度の介護保険改定により、薬剤師が服薬管理を実施するにあたって重要な改定がなされました。

訪問介護者等が一日に複数回訪問する他、養成に応じて臨時に訪問を行う「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」が新設されたのです。

定期巡回及び随時対応型訪問介護看護を実施する事業所と在宅訪問を実施する薬局が連携し、服薬時点に合わせた訪問を依頼することにより、在宅患者の服薬が大幅に改善する可能性があります。

薬剤師の在宅訪問による服薬支援について

薬剤師が他の医療職種及び介護職種との合同勉強会に参加するということも有効です。

このような活動を通して、在宅医療・看護に感じていた苦手意識は、誰に聞けば良いのかわかるようになります。


薬剤師の在宅現場においてわかること

今在宅訪問活動に力を注いでいる薬剤師についても、「はじめからスムーズにできたわけではありません」と言います。

むしろ、はじめから在宅訪問をスムーズに実施していたという例は非常に稀です。

はじめはどの患者宅を訪れても、玄関先で薬を渡すだけで終わってしまうケースがほとんどです。

ですが、訪問を重ねるにつれて様々な話ができるようになり、玄関先から今に通されるようになります。

そうすれば、残薬の確認や、自覚症状の変化等もわかるようになります。

このような積み重ねを継続していくことが肝心で、在宅への参画については地道に続ける以外に方法は無いでしょう。

在宅訪問の際の服薬指導については、薬局で行うそれとは性質が大きく違います。

薬局窓口における服薬指導は、基本的には薬剤師のテリトリーにおいて行われますが、在宅であれば、患者のテリトリーにおいて行うこととなります。

「お邪魔してもよろしいでしょうか?」「薬はここに置いてもよろしいですか?等、相手の立場を考えた会話が要求されます。

薬局窓口にあってはあまり話してくれない患者でも、患者のテリトリーである自宅にあっては、普段より話をしてくれるようになります。

自分のテリトリー内にいるという安心感が生じる為です。


薬剤師の在宅訪問による服薬支援

在宅現場においては、調剤室にいては想像もできないような多くの現象が発生しています。

食事、睡眠、排泄、ADL等の問題と合わせて、医薬品の管理及び服用ができていないケースもあります。

訪問看護師やヘルパーでは、患者の様子が変わった際に、医薬品の副作用によるものかどうか、もしくは他の原因があるのかといった判断は困難です。

薬剤師が携わることで解決に至る問題が多い現実に目を向けなければなりません。

加えて、在宅患者は高齢者が多いことから、合併症も少なくありません。

その為、処方薬の種類についても多くなり、服用時点も複雑化してしまいがちです。

服薬改善の為には、一包化が必要となるケースは少なくありません。

一包化することにより、残薬の確認をするにあたっても、チェックが容易となるでしょう。

すなわち、患者の服用状況が悪い要因を発見して改善策の提案を行い、患者の商法やADL、そうしてQOLに直結する医薬品の影響に関して評価を行うことは、薬剤師以外にはできません。

薬剤師・ドラッグストアの「調剤参入」の意図

薬剤師・ドラッグストアの「調剤参入」

ドラッグストアは現在第二次成長期に入ったと言われています。

今までドラッグストア業界は利便性及び低価格、規模の拡大を中心として成長してきましたが、少子高齢化の進行や、改正薬事法の施行に伴った競争激化等を受け、新しい成長戦略を模索する段階に入っています。

ドラッグストアの課題は明らかです。

規模の拡大、スケールメリットの追求等のこれまでの方法から、総人口減少、高齢者人口の増加に対応する、狭小商圏における新しいフォーマットの作成です。

これにより、ドラッグストア産業の市場規模をこれまでの2倍、10兆円産業が可能になるとみています。

ドラッグストアについて、2011年度の時点でおよそ1.6万店舗、計算上は商圏人口8000人毎に1店舗の割合となっています。

目指す狭小商圏に関しては、4000人ごとに1店舗の割合で出店することとなりますが、今のフォーマットのまま店舗数のみを増加した場合、生活者ニーズを取り込むことができないのみならず、同様に狭小商圏においての挑戦がはじまっているコンビニないしスーパー等の異業種と正面から競合する形となります。

狭小商圏における展開は「地域密着」「個別への対応「時点へのマーケットシフト」「新たな満足と需要の想像」等が条件となるでしょう。

加えて、これらを支援する為に、業界全体を通して、EDI(電子データ交換のことで、企業間において標準化されたデータをコンピューター経由で自動連携し、業務の効率化及び価値の創出を図ること)の採用や、ドラッグストアの特徴としてのスタンダードソリューション機能等のインフラ整備を行わなければなりません。

その上で、各社が出店戦略や価格戦略、MD戦略やシステム整備等を進行することとなります。

これまでのドラッグストアについては投資の短期回収及び利益の最大化が命題となっていましたが、市場の拡大を見込めない現代にあっては、着実な利益、将来ともに役立つモデルになるような経営を行わなければなりません。

ドラッグストアが狭小商圏にマーケットシフトを図るにあたって、最も大きな課題となるのは、医療・健康分野の取り込み、つまり、「調剤参入」「セルフメディケーションの推進」に他ならないことは、業界共通の認識となっています。

その先には、在宅医療及び介護、高齢者施設との連携等も待ち受けています。

このような取り組みにより、狭小商圏にあって他業態との差別化を図るだけではなく、高齢社会にあっての健康・日常生活に関連するニーズを充足させることが可能となります。

薬剤師業界事情・調剤薬局とドラッグストアの今後の展開

ドラッグストアにおける薬剤師の調剤

調剤業務については、従来の医薬分業が門前薬局を主軸とする点分業である一方で、地域で展開するドラッグストアの分業が面分業の形態であるということが強みとなります。

また、一般用医薬品サプリメント、介護用品や衛生用品を取り扱うことにより、生活者に身近な場所にあって病気や医薬品、健康問題に関して相談することができる機能を兼ね備えます。

今ドラッグストアの医薬品の売上構成比については、一般薬を主軸としておよそ30%ですが、調剤参入により、医薬品の売上が占めるウエイトは上昇していくことになるでしょう。

既にココカラファインスギホールディングスマツモトキヨシホールディングス、ウエルシアホールディングス、CFSコーポレーション等の大手ドラッグストアは調剤売上で上位15社以内にまでランクインを果たしており、急激に調剤の売上を伸ばしています。

調剤薬局各社については、同業者間の競争に加えて、ドラッグストアという巨大な競合相手を迎え撃たなければなりません。


薬剤師・大手調剤薬局の方針

一方で、調剤薬局側についても、競合相手となるドラッグストアへの対策をとりはじめています。

クオールはコンビニ大手であるローソンとの間にあって「コンビニ&調剤」の新業態を矢継ぎ早に出店、2014年3月までに100店舗を目標値しています。

両者は2008年に業務提携を結んでいましたが、12年8月、資本提携に踏み切りました。

これによって、パートナーシップの更なる強化を図ります。

また、クオールは家電量販店大手のビッグカメラとも提携を行っており、面展開を見据えた取り組みの強化を図っています。

面展開については、調剤薬局2位の日本調剤も同様です。

2012年度は150店舗を出店しますが、その半数以上は特定の医療機関に依存することのない面対応薬局とする方針です。

業界最大手のアインファーマシーズについては専門性の強化を掲げており、先行投資的に在宅医療に力を注ぐ一方で、セブン&アイホールディングスとの提携により新業態としてのドラッグストア「アインズ&トルペ」の展開を実施、売上高の2割を占める事業となっています。

アインズ&トルペはターゲットを若い女性に絞り、ヘルス&ビューティーに特化した豊富な品揃え、ファッション性の高い店舗デザインを採用しています。

すなわち、既存のドラッグストアとは全く競合しない業態となっていることが特徴です。

 

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